株式会社レックス

2023年12月歳時記

2023.12.09

今年の夏は、北半球では異常気象とも言える酷暑が続いたが、100年ぶりとも言える暑い夏が終わり、急に涼しくなった。インド洋の海水温の異常が日本の酷暑の夏の原因ではないか、などさまざまな仮説について言及する向きもあるが、気候変動については異論もあるから、素人にはとても本当のところはわからない。暑い夏であれば暖冬になるとは限らないらしく、今年の日本列島は11月下旬になってから急に寒くなって、東北地方では初雪もあった。気候温暖化で東北地方あたりはかえって降雪量が増大するとの説もあるから、いよいよわかりにくい。イタリアの政治哲学者クローチェは、明日の天気は変えられないが、明日の政治は変えられる、と喝破する。なるほど人智には限界があって、天命を受け入れるしかないことはままある。今年の冬がどうなるかの予想は当たるも八卦だが、ちゃんと気温を測定して対処することが肝心だ。寒い部屋で半袖シャツを着ていれば、風邪をひくのは当然で、人間の限られた知恵で暖をとり、命ながらえることになる。  

今月は、華氏と摂氏の違いについて説明したい。気温、体温など、温度の体系の違いを基礎知識にして、外国出張の際など日常生活に役立てたい。日本では摂氏ばかりの温度だから、華氏の温度の世界との違いがあることを知って対処すれば、賢くなれるかもしれない。

まず摂氏は、スウェーデンのウプサラ天文台にいた学者のアンデルス・セルシウスの名前をとった温度で、水の凝固点を零度として沸点を100度としてその間を百分割し温度の高低を定めているて(だから、センチグレイドとも呼称する)。

華氏は、ドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイトの名前にちなむ温度の体系で、水の凝固点を32度、沸点を212度として、その間を180分割する。華氏の温度は、地球上の人間が住む地域の大部分で0度から100度の範囲内で通用することに特徴がある。たとえば、華氏0度と言えば凍え死ぬような寒さであり、20度台になれば霜が降りる。32度で氷が張り、40度では防寒の服が必要であり、50度が運動には最適で、60度では薄手の衣服になる。70度では夏服になり、80度台はシャツ一枚で過ごせ、90度は猛暑で、100度は命に関わる暑さとなる、などとの感覚がある。英語では三桁の暑さ(three digits heat)と言えば猛酷暑の表現である。だから摂氏よりも華氏の方が日常生活では便利だとの主張もあり、なるほどと思われる点もある。

人間の体温は、37度が摂氏では平熱に近いが、華氏では98.6度に当たることも基本的な知識である。この数字、98.6を覚えておけば、欧米の旅先で発熱しても平熱と比較することができる。北米では、エアコンも華氏で表示されている場合が多いので、ホテルの空調を調整するためにも、華氏50度から60度までが快適温度なのだと覚えておればいい。厳格に摂氏と華氏とを換算するには「華氏の温度は摂氏の温度の数字の1.8倍に32を加えたもの」であることを覚え、海外出張の場合の嗜みの知識にしておけばいい。

体温計は、日本では通常、腋に挟む。稀に口にくわえることがあるが、欧米では、赤ん坊の場合ではあるが、肛門で体温を測ることが通常である。だから、外国で体温計を腋に挟んだり、口にくわえたりしてはいけない。