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2023年11月歳時記

2023.10.29

令和元年5月1日、剣璽等継承の儀により新天皇が即位され、「即位後朝見の儀」が行われた。同年の10月22日に「即位礼正典の儀」と続き、国家として承認している195か国の元首などが招かれた。シリアは、アサド政権の非人道性のために除外され、台湾からは謝長廷駐日代表が参加した。ちなみに、香港とマカオからは、一国二制度のもとでの行政長官が出席しており、米国からは、当初予定されたペンス副大統領が欠席して、台湾生まれのイレーン・ラン・チャオ運輸長官が出席した(父親は、江沢民と上海の学校で同級生)。 

 即位礼正典の儀に続いて、11月23日に行われた皇位継承に伴う祭祀が「大嘗祭」(だいじょうさい)である。毎年11月23日は勤労感謝の日になっているが、元々は、宮中で行われる新嘗祭と同じく、収穫の秋祭りと解される(新嘗祭は、明治6年にグレゴリオ暦を採用してから11月に行われているが、旧暦では11月の第2の卯の日に行われていた)。即位に伴う大嘗祭は、天孫降臨の時に、天照大神が、天壌無窮の神勅とともに斎庭の穂の神勅を下されたとされ、つまり、高天原で神々が行っていた米作りをそのまま地上でも行うべしとの命令で、米作りという日本の食の基本を宣明していると理解される。天照大神が、皇孫・瓊瓊杵尊に稲穂を授け、日本国を「豊葦原の瑞穂の国」とするのが、天皇と民族の使命であることを示している。天皇が、国家を武力や権力で支配する者ではなく、稲作を基本とする日本人の生活を保障する祭祀の司であり、命の糧である稲穂が豊かに稔るようにと希求する祈りをささげる祭祀王であることを明らかにする神話に基づく儀式だ。

 大嘗祭のおいて供される稲は、「斎田」で収穫される。斎田は、全国に二か所あり、それぞれ、悠紀(ゆき)・主基(すき)と呼ばれる。令和元年の大嘗祭の悠紀田は、栃木県塩谷郡高根沢町大谷下原にあり、主基田は、京都府南丹市波路町氷所新東畑にあった。ちなみに、天皇の祭服は純白生織(すずし)と呼ばれ、最も清浄な服とされる。織物としては、織物として麁服(あらたえ:大麻)と繪服(にぎたえ:絹織物)、木綿(ゆう)がある。麁服は特別な存在で繪服とともに「第一の新座」に置かれる。麁服は大王霊という天皇の霊が着る神衣である。麁服は勅使の先導の下、阿波忌部人の「御殿人(みあらかんど)」に厳重に守られ、徳島の木屋平村から宮中に届けられる。麻酔いと呼ばれる現象はあるにせよ、毒性の弱い日本大麻を禁止した占領軍と未だに継続されている真意を想像することも、的外れなことではない。 

 11月2日には、唐津のおくんちの祭りがある。鹿児島では、翌日の11月3日の文化の日まで、おはら祭だ。昭和24年からで、今年は72回目になる。南九州最大の秋祭りとなっている。金曜日だから、4日・5日と連休になる。今年は、11月8日が立冬である。枯葉が舞い、冬の気配を感じるようになる。一の酉の日は11日。三の酉まである年は、火事が多いとされるが、今年は11月23日の酉と二回しかない。関東を中心に各地で酉の市がひらかれる。東京では、酉の市の発祥の地とされる足立区の大鷲神社、台東区浅草の鷲神社、新宿区の花園神社、府中の大国魂神社がある。筆者は、目黒の大鳥神社をひいき?にしている。11月15日が、七五三の行事がある。子供の成長を祝う行事である。ボージョレヌーボーの解禁の日は、毎年11月の第3木曜日の午前零時と決められているから、今年は11月16日にあたる。西洋のワインをたしなむ人が増えたのか、お祭り騒ぎになっている。越後の村上で造られる〆張鶴の新酒を取り寄せて、令和の日本酒のボージョレヌーボーにして味わうのも一興だ。11月22日を、小雪(しょうせつ)という。寒い冬の到来を目前にすることになる。風邪をひかないように予防することが肝心だ。外出から帰ると、うがいをして手を洗う。コロナが蔓延した頃、中国が、マスクを日本への輸出禁止物品にして慌てふためいたが、最近では、消毒用の国産アルコールが簡単に入手できるから、家庭の常備品にしておけばどうだろうか。