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2022年9月 歳時記

2022.08.19

旧暦では、秋を立秋の8月8日頃から立冬の前日の11月11日頃までとする。8月の歳時記で説明したが、立秋と言っても蝉の鳴き声が喧しくなるくらいで、暑さは変わらないどころか、終戦記念日の8月15日を超えても、真夏の日差しは容赦なく照りつける。新暦では、秋は9月から11月までと大雑把である。天文学では、秋分の9月22日頃から、冬至の前の12月22日頃までと細かく定義されるが、ともかく、秋は9月には始まり、11月の末か12月の中旬には終わる。だから、9月の初は、まだまだ残暑が厳しい。

夏場の疲れが出たり、冷たいものを食べ過ぎで胃腸が弱ってしまうこともある。9月は、体調管理と調整に十分注意する月にしたい。

9月1日は、関東大震災の記念日で、防災の日でもある。台風の襲来はもとより、自然災害の多い日本だから、この日には、各家庭で防災グッズの点検をする習慣も必要だ。令和3年は、立春から数えての210日が9月1日、220日は9月11日にあたるが、これは、田植えをしてから、稲の開花期と大型台風襲来とが合わさっていることに注意喚起する、日本独特の気候区分の呼び方である。

9月8日は白露(はくろ)。「秋の気配がさわやかに澄み渡り、木々草花に宿るしらつゆが、ひとしおの秋を彩り始めます」とある。

あまり知られていないが、東京などの関東地方では、梅雨の季節よりも秋雨の季節の方が雨量が多い。逆に北海道では、21日以上が秋晴れで、日本全国で15日以上の秋晴れの日が続くが、関東地方だけが14日以下である。白露の前後は、全国的に晴天率が低く、東京ではもとより期待できないが、天高く馬肥ゆるの秋の青空を楽しめるのは、全国どこでも9月中旬以降である。勿論、紅葉が始まる。

9月10日が旧暦8月15日、十五夜の望月である。仲秋の名月である。月の引力は、海の潮の満ち干に大きな影響を与えていることは確実で、地球上のあらゆる生き物にも影響を及ぼして、誕生が潮の干満の時刻とあわさっているとの説も有力だ。南の島の珊瑚礁には、それこそ、月のない夜に、産卵のためにアイゴという小魚が押し寄せるといい、その小魚を塩漬けにしたものを食べられるかどうか、子供から大人になるための、成人への通過儀礼の儀式である。

9月23日は、秋分の日である。夏の名残は残るが、涼しくなり、初冠雪の便りが、秋分の日ごろに、まずは、北海道の大雪山系の旭岳から伝わり、それから、一週間も経たない9月27日頃に、富士山の初冠雪の報が伝わる。ちなみに、富士山の見える最遠地は、和歌山県妙法山(標高740メートル)で、その距離322キロ、北方は209キロ離れた阿武隈山系の日山(標高1057メートル)である。

潦という一文字で、にわたずみと読む漢字があるが、地面に流れてたまるような大雨のことである。秋の大雨を秋潦(しゅうりょう)という。篠つく雨との表現は、雨が地面に突き刺さるように降っている様子で、「車軸を流す」は、車輪の太い心棒を流してしまうような強い秋の雨の表現である。秋雨前線は、梅雨よりも警戒が必要か。

日本も世界もコロナ禍の最中であり、令和4年の日本は、参議院議員の任期が満期になり選挙があった。国際政治も米中が覇権をめぐり激しい対立があり、ロシアとウクライナの軍事紛争が勃発して、その余波が日本に押し寄せているが、日本人は、引き潮を満ち潮と、潮時を間違えたりはしない。太陽の光が陰っても、月と北斗七星を頼りに大海原を航海してきた黒潮の海洋民族である。

被爆国である。世界に平和を、地上に平和をと、堂々と主張できる。