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2022年10月 歳時記

2022.09.22

令和元年10月22日は、新天皇陛下の5月1日のご即位を公に宣明されるとともに、内外の代表が参列して寿ぐ儀式である「即位礼正殿の儀」が宮中で行われたことから、その年限りの特別な「国民の祝日」となった。「即位礼正殿の儀」終了後に、ご即位を披露され、祝福を受けられるための御列(パレード)が行われた。悪天候の場合には予備日を26日として、26日も悪天候の場合には御列は行わないことが決定されていた。使用する車両は、先帝陛下の場合には、ロールスロイスの車両が使用されたが、令和の時代のパレードに使用した車両は、トヨタ自動車の製造する大型車両であるセンチュリーを改造した車両であった。ご即位を披露され、祝福を受けられるための「饗宴」が、計4回、22日、25日、29日、31日に国の儀式として宮中で行われた。国の儀式の他に、皇室自らの様々な儀式が執り行われ、北畠親房が「大日本は神の国なり」と喝破したことが、現前に展開する新しい時代の幕開けを体感する行事がひとしきり続いた。皇居前広場では、11月の初めには、数万人の観客が参加するコンサート等の祝賀行事が実行され、特に「嵐」の演出が、話題を呼んだ。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言われ、10月1日からは、そろそろ衣替えを考えなければならない。秋の気配を朝夕は感じるにしても、日中は気温が夏日となる日もあるので、服装の調整に気を遣わなければならない。気温の上がり下りも激しいので、風邪をひかないように、毛布や寝具の取り換えにも気を配る月である。彼岸は、仏教の用語であるが、確かにこの季節には、彼岸花が咲く。彼岸花は「曼珠沙華」とも言うが、実は、サンスクリットで天界に咲く花という意味である。Manjusakaが曼珠沙華となっているのだ。彼岸花は、毒を含んだ植物で、土葬の時代に、モグラやネズミの害を避けるために、墓場に植えられた外来の植物である。清水にさらせば、毒が抜けて、彼岸花のデンプンが食用にもなるとされ、救荒植物として有用であるとの説がある。南西諸島に繁茂する古生代の植物、ソテツの赤い実がそのままは毒があり食べられないが、水にさらせば食用になり、餓死を避ける最終的な食物で、奄美や沖縄には「蘇鉄地獄」という表現がある。

令和4年10月8日は、旧暦の9月13日で、十五夜についで美しい月の夜である。いわゆる十三夜である。十三夜の月を眺めて見るのも良いが、実は、片方の月を眺めるのは『片見月」といって縁起が悪いとする説もある。しかし、満月の十五夜は、日本列島を常襲する台風があってお月見ができないことも多いから、せめて十三夜を愛でることは、月読命が支配する海の満ち干に敬意を払う日本人にとっては、むしろ必要なことである。「十三夜に曇りなし」とも言い、厳しい暑さ寒さがない。天高く馬肥ゆる秋が現出することになる。10月はスポーツの秋を謳歌する月だ。

10月1日が、お隣の中国の建国記念日だ。拡張的帝国主義と呼ばれる程に、軍事と外交を活発化させているが、天安門前広場でのパレードの内容などに注目することも必要だ。10月10日は、孫文の建国記念日の双十節だ。台湾海峡をめぐる緊張が続いているから、今年の建国記念日の行事がどう展開されるか興味は尽きない。朝鮮半島にも、プルンハヌル、という突き抜けるような美しい青空が訪れる。日韓友好の回復を期待したい。

10月は、世界的に外交の季節だ。ロシアとウクライナの軍事紛争がこの2月に勃発してから、戦後の平和維持体制が瓦解した。日本は、世界外交を展開するひとつの焦点の場所となった。さて、その対応は、手抜かりなく行われているだろうか。日本語と他言語との間の翻訳も、国家や民族の間の重要な意思疎通を円滑にすることと心して、気分を引き締め、その使命を果たしたいと思う。