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2023年2月 歳時記

2023.01.22

2023年1月18日、皇居・宮殿松の間で新春恒例の「歌会始の儀」が挙行された。お題は「友」。人々が集まって、共通の題で歌を詠み披露する会を「歌会」といい、奈良時代にあったことが万葉集で判る。天皇が年の始めの歌会として催しになる歌御会を「歌御会始(うたごかいはじめ)」と言った。鎌倉時代、亀山天皇の文永4年(1267年)1月15日に歌御会が行われており、遅くともこの時代まで、宮中新年の歌会の起源を遡ることができる。江戸時代を通じて毎年催され、明治維新後は、明治2年に明治天皇ご即位後初の会が開催されている。明治7年、一般国民の詠進が認められ、明治12年には、詠進歌のうちの特にすぐれたものを選歌とし、歌御会始で披露されるようになった。明治15年から新聞で発表され、明治17年から官報に掲載される。大正15年以降「歌会始」と呼ばれることとなったが、大正天皇崩御のため昭和2年の歌会始はなかったので、実際は昭和3年からであった。長い歴史を有する歌会始は、世界に類例のない国民参加の宮中の年中行事となった。短歌が、日本の伝統文化の根幹にあることが実感できる行事となっていることは間違いない。毎年の歌会始では、一般国民が詠進して選に預かった歌、選者の歌、召人の歌、皇族殿下のお歌、皇后陛下の御歌(みうた)、と続き、最後に御製が披講(ひこう)される。皇族、文部科学大臣、日本芸術院会員、詠進者などが陪聴する。司会役の読師(どくじ)、講師(こうじ)が節をつけずによみ、発声(はっせい)が節をつけて歌い、講頌(こうしょう)が第2句以下を発声に合わせて古式ゆかしい節回しで歌うのだ。和歌は詠み歌うのだ。

御製 コロナ禍に友と楽器を奏でうる喜び語る生徒らの笑み

皇后陛下御歌 皇室に君と歩みし半生を見守りくれし親しき友ら

令和5年(2023年)は、十干十二支では、壬卯の年である。癸は、生命の終わり、そして新たな命が始まる「春の手前」を意味し、卯は、ウサギが跳びはねるように大きく前に進み、草木が芽吹く様を意味する。2023年は、「生活を一区切りして、春の草木が成長するように勢いよく飛躍する年」を意味している。コロナ禍が去ると、その後の急回復がある年になることが当然、考えられる。今年の新暦の1月22日が、旧正月の元旦であったから、新暦とのずれがあるが、2月3日が節分、2月4日が立春であることに変わりはない。2月5日が初午、2月8日が針供養、2月11日が建国記念の日、2月14日が、西洋から近年渡来したバレンタインデーである。チョコレートの売り上げが嵩んで、ブランド化した外国のお菓子会社が日本で高級チョコレートを販売して、本国での消費を凌駕しているとの記事をどこかで読んだ。義理チョコが年々高級になっているのだろうが、まだ名前がカタカナの儘だから、日本の菓子として「醇化」しているわけではない。チョコレートは、ヨーロッパのア植民地支配と切っても切れない縁の「カカオ」を原料とする。ダイヤモンド同様、赤道直下のコンゴを支配したベルギーのブラッセルなどに本社を置く会社のチョコレートがブランドになっている。

2月23日は、天皇誕生日である。新天皇陛下は、ご即位の一連を儀式を平らかに行うことができたが、その後のコロナウィルスの禍で、いろいろな儀式が中止されていた。コロナ禍は、どのように治まって行くのだろうか。

2月は、春とは名ばかりで、寒さは実は最も厳しい。しかし、梅の花が日本全国各地を飾る。春を待つ喜びを込めて「春告草」とも呼ばれる。「好文木」とも、その馥郁(ふくいく)たる香りから、匂い草とも言う。能楽に「東北(とうぼく)」があるが、京の都の東北院に今を盛りと咲く軒端の梅の下に、和泉式部の御霊が現れるという筋書きで「悟りの心を持ちつつも、昔を偲び気高く舞う姿は、梅の花のように見る者を魅了する。筆者は、毎年、日蓮上人ゆかりの池上本門寺の近くにある梅園を訪ねて花見をすることにしている。俳優の朝丘雪路の尊父、日本画家の伊東深水の旧宅庭園が保存されて大田区営の梅林となっている。帰り道に、あんみつを製造する店があって、ずしりと重いが、一袋土産に買って帰ることにしている。